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ニューズウィーク日本版 記事

ニューズウィーク日本版 2018/10/30号記事

ⅰ,「スマホで癌になる」は本当か?

WHOは「発癌性が疑われる」と警告し細胞への影響を示す研究も 携帯電話の発する電磁波の危険性とは

ⅱ,「ブルーライトにご用心」網膜を傷つけるメカニズムが明らかに

ⅲ,「電磁波の害が動植物に忍び寄る」鳥の方向感覚を狂わせ植物のストレス急増か

ⅰ,「スマホで癌になる」は本当か?

ドキッとするタイトルですが、これは本当なのでしょうか?結論からすると、「クロ」とは言えないが「シロ」ともいえない、といった内容になります。(以下要約)

通常、携帯電話から発生する電磁波は紫外線同様でDNAの損傷はなく、癌が発生することはない

〇携帯電話の電磁波は、35キロ先の基地に届く強度がある。

〇スマホを耳に付けて通話すると、15cm離した場合と比較して電磁波が1万倍も高くなる

ヘビーユーザーは腫瘍発生率が高い

〇ラットでの2年間に及ぶ実験では、電磁波を高くするほどに腫瘍の発生数が多くなる結果だった。

〇腫瘍の発生箇所は、全身の神経に分布するシュワン細胞であった。全身へのリスクが懸念される。

この約10年間で、私たちはスマホがなければ生活できないと言っていい程に密接な関係となっています。これからも私たちはスマホを安全に使用していくにあたって、大切なことはあるのでしょうか。

今回の記事は、スマホと密着している 時間が長い場合にリスクが増してしまう といった内容です。以後は、イラスト 箇所のみの飛ばし読みでもよいですし、 詳しく知りたい方は記事をご覧になっ てください。

WHO(世界保健機構)は11年、携帯電話は「発癌性が疑われる」と結論付け、「携帯電話とがんのリスクを注視」し続けることを推奨した。
決定的な証拠はないが、規制当局は慎重な姿勢を崩していない。世界では50億人が 携帯電話を保有している。

ヘビーユーザーはリスクが高い

物理学や生物学の常識では、携帯電話が癌を引き起こすことは考えにくい、携帯電話から放射される電磁波は「非電離」といわれ、太陽光のX線や紫外線のようにDNAが損傷することはない。
携帯電話の電磁波は電子レンジのものと同様で、その強さは残り物のパスタを温めるよりも弱い。
携帯電話と脳や乳癌細胞との相互作用は不明なままだが、それでも米保健当局は懸念している。

携帯電話の電磁波は約35キロ先の基地局に届く強度が必要。
至近距離では信号の強度がかなり高くなる
スマートフォンを耳に付けている場合、
15センチ離れている場合の1万倍
にもなる。
イヤホンやスピーカーホンを使いましょう

ほとんどのユーザーは携帯電話を耳に押し当てて、脳組織に近いところで使う。生殖器や消化器に近いポケットやポーチに毎日何時間も入れている。(当院にご来院される方では、頭痛や耳の症状、めまいや不眠などの自律神経失調症との関連が深いと考えています

枕の下に置くのはダメ!

夜、ベッドの中で操作して枕の下に突っ込んで寝るのはよくあるパターンだが、電源を切るか機内モードにしない限りNG。
米国保健当局によれば、ベッドからせめて1メートル前後は離れた場所(遠ければ遠いほどいい)に置く方がいい。

携帯電話は普及してから30年程度。明確な結論を出すには、調査対象を広げ、癌の原因と切り分ける必要があるが、この作業は極めて困難だ。

学術誌「労働・環境医学」に発表された14年のフランスの研究では、良性・悪性の脳腫瘍を発表した447人と対象群の被験者グループを比較した。その結果、全体的には脳腫瘍・携帯電話との間に関連は認められなかったが、一生のうち携帯電話を896時間以上使用するヘビーユーザーは腫瘍発症率が高かった。(しかし、関連を結論付けるサンプルとしては少ないため、今後も検討が必要だ)

ブラジャーの中に入れないで!

ブラジャー内側に携帯電話を入れていた若い女性が乳がんを発症したケースが複数確認されている。
実際に症例を知る専門家はブラの中に入れるのはやめた方がよいと呼び掛ける。
乳癌専門外科医ジョン・ウェストは、まだ乳房が成長途中の少女は特に危険だと懸念している。

雄だけ腫瘍が増える理由は?

この種の電磁波は本当に悪性腫瘍を生み出すのだろうか?米保健福祉省の一部門NTP(毒物調査プログラム)の研究者はシカゴのコンクリートの地下室で、携帯電話と同じ無線周波数の電磁波を3000匹以上のラットやマウスに照射した。米連邦通信委員会(FCC)が定める携帯電話ユーザーの最大許容量は1.6ワット。NTP上級研究員ジョン・ブッカーは「通常の通話時に放出される電磁波はこの最大許容量よりもずっと小さい」という。

実験は、ラットの体重1キロ当たり1.5~6ワットの高レベルの電磁波を、実験動物の脳、心臓、肝臓、消化器といった全ての臓器に照射した。(10分照射、10分休憩の繰り返しを1日9時間)2年間にわたる照射の影響は顕著だった。最も強い電磁波を浴びた雄は浴びていない対象群よりも6%も多く心臓に悪性腫瘍ができた。(雌のラットではこうした差はない。理由は不明)

その上、電磁波が強ければ強いほど発症する割合は高くなった。1キロ当たり1.5ワット照射で腫瘍数が4に対し、6ワットでは11だったのだ。電磁波が大きな発症要因だったといえる。

ブッカーはこの結果をそのまま人に当てはめることはできないが、長時間にわたって強い電磁波を浴びると動物の細胞に変化が起きることが示されたのは確かだ。「電磁波を浴びた場合、人間の健康に何らかのリスクを与えることを、この研究は立証した」と語った。

ズボンの尻ポケットもNG

大殿筋にがんが増えたという研究は今のところないが、長時間、皮膚の近くに持つよりはカバンに入れた方がいいとの意見もある。

前ポケットもNG 睾丸からは離して

携帯電話をズボンのポケットに入れたままヘッドセットで通話する男性は、精子の数が少なかったり質が悪かったりする傾向があるとの研究も。「子供が欲しいなら携帯の電源オンのままポケットに入れるのはやめた方いい」とカリフォルニア大学のスタントン・グランツ教授は言う

懸念されるのは、腫瘍ができたのは神経細胞を囲むシュワン細胞だった。実験で腫瘍が発生したのはラットの心臓のシュワン細胞だけだったが、この細胞は携帯の電磁波を浴びやすい頭部を含めて全身に存在する。すなわち、脳や心臓だけではなく全身に影響を及ぼす可能性があるのだ。

先行する複数の疫学研究では、携帯電話を頻繁に使っているとシュワン細胞に珍しい種類の脳腫瘍が発生する確率が高くなるとの結果が出ている。

ラマツィーニ研究所(イタリア)の研究でも同様の結果が発表されている。大学や医薬品メーカーなどの専門家からなる委員会はNTPとラマツィーニ研究所の実験結果を検討し、雄のラットについて「発癌的活動のはっきりとした証拠」が示されたとの結論を出した。

アメリカ癌協会のオーティス・ブローリーは「大きな変化をもたらす研究だ」と述べているが、「まだ分かっていない重要な点がいくつか残っている」。なぜ、雌よりも雄のラットに悪性腫瘍が発生するのか。何より、もし携帯電話による電磁波が癌を引き起こすとしたら、そのメカニズムは何なのか。人々を電磁波の害から守るためにどんな規制を設けるべきかはまだ分からないと、ブッカーは言う。

ナイトテーブルの上もやめておこう

目覚まし時計代わりのアラーム機能は便利だが、だからといって、頭や体の近くに置くのはよくない。ベッドサイドのテーブルに置くならせめて機内モードにしておこう

既に規制強化を行った国も

現行のアメリカの携帯電話の安全規制は「携帯電話の電磁波の人体への害は細胞組織を熱してしまうときのみ起きる」という、今となっては誤った前提に基づいているが方針を変えていない。WHOの勧奨やNTPの実験結果を踏まえても、米食品医薬品局(FDA)は規制強化の計画はなく、現在の安全基準で十分だとしている。

一方で、アメリカよりも厳しい規制を設けた国は多い。11年のWHOの勧奨を受けてフランスやドイツ、スイス、インド、イスラエルなど少なくとも8か国は電磁波を浴びる量を減らすためのガイドラインを発表した。

イギリス・イスラエル・フランス・ベルギー・ロシア

  • 16歳未満、妊婦の携帯電話の使用や販売を禁止・制限勧告
  • 子供をターゲットにした携帯電話の宣伝を禁止している国もある

ドイツ

神経症患者などへ勧告。弱電磁波の携帯がある。

シンガポール

通話中はイヤホンマイクが常識

アメリカ小児科学会(AAP)は13年、米連邦通信委員会(FCC)や米食品医薬品局(FDA)に対して、携帯電話や無線機器に関する基準を見直すように求めた。「子供は小さな大人ではなく、体の大きさのわりに携帯電話の電磁波を含むあらゆる環境からの影響を非常に強く受ける」とAAP会長トーマス・マキナニーは言った。また、子供やティーンエイジャーの親に対し、携帯電話の使用を制限させるよう呼び掛けている。「携帯電話メーカーは、ユーザーが浴びている電磁波の量が安全なレベルがどうかを保証することはできない」からだ。

規制が見直されるまでは、せめて通話中はイヤホンやスピーカーホンの使用をすべきだ。

ロニー・コーエン(ジャーナリスト)

ⅱ,「ブルーライトにご用心」 網膜を傷つけるメカニズムが明らかに

失明を加速させる可能性も

ブルーライトというとスマホやパソコンを思い浮かべがちだが、太陽光や蛍光灯、蛍光電球、LED照明などの光も含まれている。私たちは絶えずブルーライトにさらされていて、目の角膜やレンズでは遮断や反射させることはできない。
そのブルーライトが原因で目の網膜を傷つけ、視力低下につながることはよく知られている。また、自律神経を不安定にしてしまうことから免疫を低下し、あらゆる病を引き起こすとも。最近の研究では、失明を加速させかねないことも分かった

「黄斑変性症」は網膜の視細胞が死滅することによって起こる病気で発症年齢は普通50~60歳だ。アメリカでは視力低下や失明の原因の第1位。疾病対策センター(CDC)によれば、新聞を読んだり、車の運転が難しくなるなどの日常生活に支障をきたす恐れがある。

米トレド大学のアジス・カルナラスネ助教(化学・生化学)の研究チームによると、ブルーライトを見続けると、光を感知する網膜の視細胞が反応し続け、黄斑変性症のダメージを加速させる恐れがあるという。

ブルーライトと信号伝達物質が反応して、視細胞を死滅させかねない有害な化学分子を生じさせることを発覚。網膜は視細胞は再生しないだけに厄介だ。
研究チームは、スマホやタブレットの画面から発する光を測定し、日常的にブルーライトにさらされる目の反応を詳しく調べている。「ハイテク時代に子供たちの視力を守る方法を突き止めたい」とカルナラフネはいう。
それまでは暗闇でのスマホを避け、ブルーライトカットをして目を守るべきだ。―

リサ・スピアー

ⅲ,「電磁波の害が動植物に忍び寄る」 鳥の方向感覚を狂わせ、植物のストレスを急増させる恐れも

EUが支援した97の研究結果で、電磁波は「クロ」判定に

送電線や携帯電話の基地局から発せられる電磁波は、動物の方向感覚を狂わせ、植物に悪影響を及ぼしかねない。EUが資金援助するプログラムが97の研究を分析した結果、電磁波にあらためて「クロ」判定が下された

鳥や昆虫などが持つ磁覚(地球の磁場を利用して自分の 位置を把握し、正確なルートを見つける)に高周波の 電磁波が影響を及ぼしてしまう。

これは植物も同様で、低レベルの電磁波でもトマトの 「ストレス関連の転写産物(転写されたRNA)の蓄積 量が急増した」という。

そこで問題になるのが、現在急ピッチで導入が進む第5世代(5G)サービスに用いられる送受信装置。これは通信速度を高めるためにより高い周波数帯の直進性のマイクロ波を利用するため、電波が届きにくいエリアが生じ、小型の基地局を多く設置しなければならない

動物保護団体は、夜行性の虫が集まる街灯や、野生 動物の生息地には設置しないように提案しているが、人体への影響も気になるところだ。―

デーナ・ダビー

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